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2019.10.1 火
例えば人種差別の問題というものがあるとする。ほとんどの場合よくよく考えると人種というものは非常に分かりづらいもので、おそらく人種を定義できる人間はいないと思われる。私の友人にメキシコ生まれで小学生の途中から日本にやってきたハーフの友人がいる。彼は半分メキシコ人ではあるが、彼の血はメキシコを植民地化したスペイン人である。スペインの血でメキシコに生を受け半分メキシコ、半分日本で育っている。日常的に彼が何人であるのかを意識したことは、少なくとも私はない。外国人の犯罪について彼と話しているときも、私は彼を外国人だと思っていない。  同様にして私にはかつて韓国人の恋人がいた。彼女との共通言語はドイツ語だった。私は彼女とドイツ語を通して意思疎通をはかり、共通の友人はドイツ人や韓国人や日本人や、はたまた...
2019.7.27 土
貧富の差を語る前に我々が前提としなくてはならないのは、第一にその格差という状態を感情抜きに主観で見ようとする試みが必要であるということと、第二にその原因を突き止めようとしないこと及び誰かに罪を被せないこと。そして最後に貧富の差を生んでいるのは取りも直さず、こういった視座から我々のほとんど(殊にこのテキストを読んでいる階級のあなた)が生み出しているという事実を真摯に受け止めることであると私は思っている。つまり貧富の差が生まれるのは貧富の差という一つの社会的な発明であり、その発明によって豊かな社会を作っているのである。強いて言うなら我々は(少なくとも中産階級以上の人々は)そのような社会を作り上げている当事者であり、その当事者であることを踏まえて涙を流したり平等社会を叫んだりする者であることが大...
2019.4.21 日
時空という概念は想像しづらい概念ですが、アインシュタインが一般相対性理論と特殊相対性理論という論文を発表して以来世界を反転させてしまった概念がこの時空というものでした。あいていにいえば時間と距離は殆ど同じ概念であり時間の伸び縮はすなわち空間の伸び縮みに等しいということになります。ニュートン以来定数として固定されていたものは「時間」であり距離と速度が変数として機能し物体の移動を定式化できるという考え方でしたが、アインシュタインは速度が定数であり距離と時間が変数となるという新しい物理公式を考え出したということです。これを直感的に言い表したよい表現に、「夜という時間は地球の自転によって夜という位置に移動した状態である」というものがあります。夜は時間という概念ではなく、むしろ地球の位置という空間的...
2019.4.20 土
ハイデガーの名著「存在と時間」の中で「存在をめぐる狂人の争い」という言葉が出てきます。古来より哲学という文脈では「存在」について研究することは非常に困難であり、実際問題として現在も尚我々が見ているこの世界という存在を含めて何故存在しているのか、または本当に存在しているのか、あるいはそもそもその「存在」とは何を意味しているのかに全く決着がついていないということ全体の比喩としてハイデガーがギリシャ語から引用しているのがその言葉、つまり、「存在をめぐる狂人の争い」ということになります。あった/なかった、言った/言わないなどのようにそもそもそれらが存在したのかどうかという問題に対して歴史の中でもずいぶん長い間それを議題にしてきませんでした。ギリシャ時代からハイデガーまでその間の哲学は存在に対しての...
2019.4.17 水
類まれな阿呆は時折出会うことになる。阿呆はその中身がどうあれ外見とその振る舞いで殆ど決定づけられる。無意味に笑う。姿勢が悪い。話が終わらないうちに頷く。声が上ずっている。落ち着きがない。いろいろな要素でその人間の阿呆さの印象が決まる。その後その印象を拭い去ることはなかなか難しい。しかし実際にはいわゆる高等教育を受け学力レベルが非常に高いにもかかわらず阿呆である人間が数多くいる。阿呆の根本要素は非常なる不安である。  不安な人間の言動はその不安さという状態よりもむしろ自己の保身と保護を目的としたその手段があまりにも早急なために安易であることが多い。不安の中で熟考できることが少ないため、時短且つ安易に問題対処法が考案され実行される。否、実行されるのであればまだマシな方で阿呆の典型はその実行を他...